湖とウイスキー。シュリーアゼーの蒸留所へ

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シュリーアゼーにあるSLYRSウイスキー蒸留所の外観

ドイツへ来たら、行ってみたいと思っていた場所があった。

サッカースタジアムでも、有名な観光地でもない。

ウイスキーの蒸留所だ。

私はもともとウイスキーが好きで、バイエルン州のシュリーアゼーに「SLYRS(シュリールス)」というウイスキー蒸留所があることを知った。

ドイツといえばビールのイメージが強いが、バイエルンの自然に囲まれた場所でウイスキーが造られている。

しかも、予約なしで見学できるらしい。

ミュンヘンから電車で約1時間ということもあり、一人で行ってみることにした。

ミュンヘンから電車で約1時間

シュリーアゼーまでの道中は、以前訪れたテーガンゼーとよく似ていた。

電車の窓から見えるのは、緑豊かな自然と山、そして大きな湖。

ミュンヘンの街中とは、まったく違う景色が広がっている。

湖を眺めながら電車に揺られていると、約1時間の移動もそれほど長く感じなかった。

最寄り駅はFischhausen-Neuhaus駅。

公式サイトによると、駅から蒸留所までは約1キロ、歩いて10〜15分ほどだ。

ウイスキーが目的ではあったが、シュリーアゼーへ向かうまでの景色だけでも十分に楽しめる。

バイエルン生まれのウイスキー「SLYRS」

SLYRSの始まりを調べてみると、なかなか面白かった。

1994年、創業者のフロリアン・シュテッターがスコットランドを訪れた際、壮大な山や澄んだ水、きれいな空気など、スコットランドとバイエルンには共通点が多いと感じたという。

そこで「バイエルンでも世界に通用するシングルモルトウイスキーを造れる」と仲間と賭けをしたことが、SLYRS誕生のきっかけになった。

ちなみに賭けられたのは、ビール一箱だったらしい。

その後、家族が営む蒸留所でウイスキー造りが始まり、2002年に初めて正式販売されたSLYRSのウイスキーは、数日で完売したという。

スコットランドでの一つの賭けから、バイエルンのウイスキーが生まれた。

そんな話を知ると、見学も少し面白くなる。

予約なしで蒸留所見学

今回訪れたSLYRSでは、自分のペースで回れるセルフ見学を選んだ。

セルフ見学には映像、蒸留所内の見学、最後の試飲が含まれており、所要時間は30〜40分ほど。

現在の料金は一人12.90ユーロからとなっている。

ドイツの観光施設として考えると、それほど高くなく、ウイスキー好きにはかなり良心的な値段だと思う。

10人以上のグループは事前の申し込みが必要だが、一人で訪れる場合は予約なしでも大丈夫だった。

自分のペースで蒸留所の中を見て回れるので、一人でもまったく問題ない。

ガイド付きのツアーだと、ドイツ語や英語を理解できるか不安になる。

その点、セルフ見学なら分からないところは飛ばしながら、自分が気になる部分をゆっくり見ることができる。

蒸留器や樽の並ぶ場所を見ながら、麦からウイスキーが造られていく過程を知ることができた。

語学に自信がない私にとっても、ありがたい見学方法だった。

ほぼすべてのウイスキーを試飲

SLYRS蒸留所で試飲したウイスキー

見学の後は、楽しみにしていた試飲。

せっかくここまで来たので、飲めるものはほぼすべて試してみた。

いろいろ飲んだ中で、一番うまいと思ったのは「Bavarian PEAT」という、ピートの効いたウイスキーだった。

公式サイトによると、ピートの煙で乾燥させた大麦麦芽と、バイエルン・アルプスの湧き水から造られている。

スモーキーな香りと味がしっかりしており、その中に洋梨やバニラ、塩キャラメルのような風味もあるという。

そこまで細かく味を表現できるわけではないが、普段からピート系のウイスキーが好きな私には一番合っていた。

ほかにも、ジンの樽で仕上げたジンフィニッシュと、リンゴを原料にした蒸留酒の樽で仕上げたカルバドスフィニッシュが印象に残った。

SLYRSでは、通常の熟成を終えたウイスキーを別の種類の樽へ移し、さらに熟成させる「フィニッシュ」の商品も造っている。

使う樽によって新しい香りや味が加わり、同じウイスキーでも違った個性が生まれるらしい。

ジンフィニッシュとカルバドスフィニッシュも、通常のウイスキーとは少し違う香りと甘さがあり、面白い味だった。

「バイエルンでも、こんなウイスキーを造ってんねや。」

ドイツといえばビールのイメージが強かったが、ウイスキーも侮れない。

ほぼすべて試飲したので、帰る頃にはかなり満足していた。

食事もしたかったが、まさかの定休日

蒸留所には食事ができる「GenussVerweilerei」という店もある。

見学と試飲を終えた後、事前に調べていたウイスキーハンバーガーを食べて帰るつもりだった。

しかし、私が訪れた日はまさかの定休日。

ウイスキーをかなり試飲した後だったので、できればその場で何か食べたかった。

仕方なく、その日の食事は諦めることになった。

現在、蒸留所とショップは毎日10時から18時まで営業しており、セルフ見学の入場は17時まで。

一方、レストランは蒸留所とは営業日が異なる。

蒸留所を訪れる人で食事も楽しみたい場合は、それぞれの営業日を事前に確認しておくことをおすすめする。

予約なしで蒸留所を見学できることに安心し、レストランの営業日まで確認していなかった。

こういう小さな失敗も、一人旅らしい思い出になっていく。

ウイスキー好きならおすすめしたい場所

ミュンヘンから電車で約1時間。

美しい湖や山を眺めながら移動でき、蒸留所では自分のペースで見学と試飲を楽しめる。

予約なしでも行けるので、予定が空いた日に日帰りで訪れやすいのも良かった。

一人でも十分に楽しめるし、ウイスキーが好きな人にはかなりおすすめできる場所だと思う。

蒸留所だけでなく、シュリーアゼー周辺の自然もきれいなので、時間に余裕があれば湖の周りを散策するのも良さそうだ。

ドイツといえば、やっぱりビール。

私もそう思っていた。

しかし、バイエルンにはウイスキーもある。

湖と山に囲まれた場所で造られるウイスキーを飲みながら、ドイツの新しい一面を知ることができた一日だった。

※料金や営業時間は変更される場合があります。訪問前にSLYRS公式サイトをご確認ください。